炭水化物を極端に制限するダイエットの落とし穴
アメリカでは以前からポピュラーだった「糖質制限ダイエット」が日本に輸入されて久しいですが、糖質を極端に制限するダイエットは健康に悪影響を与えるおそれがあることが指摘されています。人間が生きていく上でかかせない3大栄養素は炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3つの栄養です。このうち、主食であり人間を動かすエネルギー源であるグリコーゲンの素になる炭水化物を制限するのが糖質制限ダイエットになります。
糖質制限ダイエットは1日に摂取する炭水化物の量を極端に減らす、もしくは半分以下にまで減らすことでやせる、という内容となっています。たしかに、糖質は多い人の場合1日の総摂取カロリーの6割以上を占めているため、このうち半分の糖質をカットすれば1日の総摂取カロリーの5分の1程度を摂らない形となることから、比較的やせやすいダイエットと言われています。しかし、そこに落とし穴が隠されているのです。
糖質制限をすると腸内環境が悪化しやすい
総摂取カロリーを比較的容易にコントロールできるため、人気の糖質制限ダイエット。現在では糖質制限ダイエットとキツいウエイトトレーニングを組み合わせたパーソナルトレーニングジムも登場しており、高い料金にもかかわらず人気を博しています。しかし、糖質制限はたしかに総摂取カロリーを減らしやすいというメリットはありますが、ダイエットは単純にカロリーだけでは語れない部分も数多く存在しています。
たとえば、私たち日本人はお米を主食とする米食文化の人種です。しかし、糖質制限ダイエットではお米を始めとして各種の炭水化物であるパンや麺類、イモ類などもすべて制限するのが原則となっています。これらの炭水化物、特にお米には食物繊維が豊富にふくまれているため、急激にお米の摂取量を減らすと食物繊維の不足によって腸内環境が悪化しやすく、便秘や下痢などの症状をひきおこすおそれがあります。
最初は夕食のご飯を半分にするところからスタート
炭水化物を制限する糖質制限ダイエットを始める場合には、まずは夕食のご飯を半分にするところからスタートするのがおすすめです。いきなり1日の糖質をすべてカットしたり、1日の糖質量の半分をカットするなど急激な制限をしてしまうと腸内環境が悪化したり、エネルギー不足でめまいを感じるなどのおそれがあります。
このため、最初は夕食のご飯をこれまでの半分に減らすところから始め、その食生活に慣れたら次は昼食の炭水化物を半分にしたり、夕食にまったく炭水化物を摂らないようにする、など、少しずつ糖質の制限量を増やすことをおすすめします。