高齢化で増える歯科医療の需要
最近の子供は小さなころから予防歯科に重点を置き、年に数回は歯科検診を行い、早めに虫歯を見つけて少しの治療で終えることが可能になっています。
また、正しい歯磨きの仕方をマスターできるよう、歯磨き指導を行っているため、小さなころから正しい磨き方が当たり前として歯のお手入れができることから、さらに虫歯が減ってきているのが大きな要因です。
それに対して、高齢者の歯科治療の需要は高まり続けています。
歯を支える歯槽骨が痩せてくるとともに歯の根っこがしっかりと骨にとどまらなくなる上、歯茎燃やせて下がってきます。
歯は歯槽骨にしっかり根を下ろし、さらに歯茎によって支えられているので、いわば緩んだ土壌の歯槽骨に立ち、周囲を支えてくれる堤防となるはずの歯茎も低く、そして小さくなってくるのですから、歯がぐらぐらしてどんどん自分の歯が抜けていくのも致し方ありません。
そのため、今や歯科医院では高齢の患者が圧倒的に多いというところも多くなっています。
特に、開院してから長い年月、同じところで診療しているという歯科医院では、50代だった患者さんが70代、80代になり、もっぱら入れ歯の作り直しや調整で訪れるといった具合です。
すでに始まっている認知症のための歯科医療
認知症になると、なぜしなければならないのかを理解することが出来なくなります。
そのため、いくら家族や介護に当たっている人が、歯科医院に行って歯の治療を受けないといけないと説明しても、いやなものはいやだと断固拒否することがほとんどです。
これまでずっとかかりつけ医として歯科医院を決めていた場合、できればよくわかっている歯科医師に診てもらいたいところでしょうが、開業医である歯科医院では限界があります。
そこで、昨今は大きな病院を中心に、高齢者歯科という標ぼうを掲げるところが出てきました。
いわゆる認知症などで通常の歯科治療が困難になった高齢者の治療を行う、高齢者専門の歯科医療機関です。
日本老年歯科医学会が養成している専門知識を持った認定医及び専門医が在籍しています。
今後は開業医にも求められる歯科医療
高齢になるとどうしても歯の手入れが十分でなく、歯磨きの仕方も我流というケースが多いために歯を失っていく人が多くなります。
歯を失うことも認知症になる要因とされていることから、今後は開業医の間でも高齢者歯科を標榜し、専門医として治療をすべき時代が、もうすでにやってきているといえるでしょう。