退院後、患者が福祉施設で生活する場合には、介護者がいるので、ADLに関するセルフケア能力に多少の不安があっても、患者が日常生活で差し当たり困ることはありません。しかし、退院後、患者が自宅で生活する場合にはADLに関するセルフケア能力に不安があると、日常生活のQOLが低下しかねません。そのため、整形外科でのリハビリでは、患者の生活空間が退院後に狭まらないように入院中から準備することが大切になります。
高齢者には外出頻度が週1回未満という、いわゆる閉じこもり状態の人も多くいますし、外出先がデイサービスに限定されている人も少なからずいて、入院前から生活空間が狭い人が多いだけに、入院によって生活空間が一層狭くならないように、入院中の整形外科でのリハビリは、退院後の患者の生活を視野に入れたアプローチが必要になります。
直線歩行能力や歩く速さだけに注目していてはいけないと言えるでしょう。ADL練習や外出を想定した練習を繰り返し行い、高齢の患者に成功体験を積み重ねてもらうことが重要です。